「行かない!」と泣いてしまうお子さまを前に、どう声をかければいいのか、次の受診はいつにすればいいのか——そんな悩みを抱えながら、用賀周辺で子連れでも安心して通える歯科を探し続けている親御さんは、決して少なくありません。歯医者に行くたびにお子さまが大泣きして、そのうち「もう行かない!」と言い張るようになってしまった、というご経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、二児の母でもある副院長・早田満里子が、日々の診療と子育ての両方の視点から、「怖くない歯医者への通い方」を具体的にお伝えします。
「歯医者行かない!」と泣く子どもを前に、親も辛いですよね——副院長・早田満里子より
こんにちは。用賀駅前はやた歯科、副院長の早田満里子です。私自身、二人の子どもを育てながら毎日診療をしています。だからこそ、お子さまを連れて歯科に来る親御さんのお気持ちは、ひとごとではありません。
受付でお子さまが泣いてしまって「もう帰ります……」と消え入りそうな声でおっしゃる親御さんに、私はいつも「大丈夫ですよ、今日は顔を見せてもらうだけでいいです」とお伝えするようにしています。このひと言で、その日の雰囲気がずいぶん変わることを、経験上よく知っているからです。
歯科恐怖は珍しいことではありません
歯科診療を怖いと感じるお子さまはとても多く、小児歯科の現場における重要な課題のひとつとして、専門家の間でも長年研究が続けられています。歯科恐怖は小児期に与えられた疼痛・騒音などの負の経験が引き金となることが報告されており、小児歯科診療においては患児のストレスを把握し、適切な行動調整を含めた治療環境を提供することが重要とされています[1]。
つまり、お子さまが怖がるのは「わがまま」ではなく、過去の経験や感覚的な刺激に対する自然な反応なのです。その前提に立つことが、まず大切だと私は考えています。
「大泣き」は成長の一段階
2歳前後のお子さまが歯科で泣くのは、ごく自然なことです。問題は、その経験が「ひどい目にあった」という記憶として定着してしまうかどうかです。J-STAGEに掲載された小児歯科学雑誌の研究では、歯科に対して負の印象を持つ者はDFS(歯科恐怖調査)の値が有意に高く、歯科への印象が恐怖の形成に大きく影響することが示されています[2]。
初めての体験をどんな印象として記憶するか——そこに、当院が力を入れている部分があります。
なぜ子どもは歯医者を怖いと感じるのか?まず「怖さの正体」を知る
お子さまの怖さに寄り添うためには、まず「何が怖いのか」を知ることが大切です。恐怖の正体を理解すれば、対策も立てやすくなります。
年齢によって「怖いもの」が変わる
歯科治療の場には、さまざまな刺激があります。年齢により恐れの対象は変化し、低年齢では大きな音など聴覚刺激、次いで光などの視覚刺激、就学前後になると想像に基づく恐れが顕著になってきます。
たとえば2〜3歳のお子さまは、タービン(歯を削る機器)の音や水の感覚に反応しやすいです。一方、5〜6歳になると「注射されるかもしれない」という想像が先行して怖くなるケースが増えます。同じ「怖い」でも中身がまったく異なるため、年齢や発達段階に応じたアプローチが必要です。
「過去の痛い体験」が記憶に残る
J-STAGE掲載の小児歯科学雑誌の研究(「歯科恐怖に関する研究 第2報 小児期の歯科治療経験との関連」)では、小児期の歯科治療経験と歯科恐怖の関連が調査されています[2]。過去に「急に何かをされた」「痛かった」という経験が、その後の歯科恐怖につながりやすいことは、多くの研究が示すところです。
だからこそ、最初の受診をできるだけ「痛みや怖さの少ない体験」にすることが、長い目で見て最も大切なことだと私は考えています。
親の不安がお子さまに伝わることも
親御さん自身が歯医者に苦手意識を持っている場合、その緊張がお子さまに伝わってしまうことがあります。「大丈夫だよ」と言いながら親が緊張していると、お子さまはその空気を敏感に察知します。受診前の声かけの仕方も、実はとても重要です。当院では、保護者の方への対話も丁寧に行うよう意識しています。
用賀の子どもたちと実践してきた「怖くない歯医者」への5つのステップ
当院では、「今日は治療を終わらせる」ことを優先するのではなく、「この子がまた来てくれる関係をつくる」ことを軸に、以下の5つの工夫を日々実践しています。
日本小児歯科学会は、「歯科疾患はかなりの部分で予防可能であり、小児期からの歯科疾患の発症予防・治療による重症化対策は非常に重要」としており、小児期に良好な歯科受診習慣を確立することの意義を強調しています[3]。その意義を実現するためにも、まず「来てくれる関係」を築くことが不可欠です。
ステップ1:まず「歯医者に慣れる」ことを目的にする
初めてのお子さまには、むし歯があっても最初の訪問でいきなり治療することは原則としていません。診療チェアに座ってみる、口を開けてみる、歯ブラシをあてる感覚を経験する——そうした小さな「できた」の積み重ねを大切にしています。
当院は東急田園都市線「用賀駅」から徒歩1分という立地にあります。「ちょっと立ち寄る」感覚で来ていただけるため、「今日は見てもらうだけ」という軽い気持ちで連れてきていただきやすい環境です。
ステップ2:Tell-Show-Do(TSD法)で「知らない怖さ」をなくす
小児歯科で広く実践されている行動管理の方法として、Tell-Show-Do法(TSD法)があります。歯科恐怖は小児期に与えられた疼痛・騒音などの負の経験が引き金となることが報告されており、適切な行動調整を含めた治療環境を提供することが重要とされています[1]。TSD法はまさにそのための手法で、「これからすること(Tell)」「実際に器具を見せる(Show)」「実際にやってみる(Do)」という3段階で進めます。
当院でも、吸引器の音を聞かせる→手に当ててみる→口の中に近づける、というように、段階的に慣れていただく対応を実践しています。「知らないから怖い」を「知っているから大丈夫」に変えていくプロセスです。
ステップ3:「できたこと」を言葉でしっかりほめる
お子さまが少しでも頑張れたとき、「口を開けてくれてありがとう」「椅子に座れたね、すごいね」と、具体的な言葉でほめるようにしています。抽象的な「えらいね」ではなく、「何が」できたのかを伝えることで、お子さまの自己効力感(「自分にはできる」という感覚)が育まれます。
これは子育てと共通する部分でもあって、私自身が二人の子どもと向き合うなかで実感していることでもあります。
ステップ4:「強引に治療しない」方針を明確にする
当院では、緊急を要する状況を除き、お子さまが強く拒否している状態で無理やり治療を進めることはしません。日本小児歯科学会は「身体拘束下での歯科治療に関する基本的考え方」を示しており、日本小児歯科学会における身体拘束下での歯科治療に関する基本的考え方(2018年1月)として、その取り扱いについての方針が定められています[3]。強制的な治療が歯科恐怖を深めるリスクがある以上、無理をすることは長期的に見て逆効果になりかねません。
「今日は少しだけ」「次来たときに続きをしよう」という柔軟な姿勢が、結果的に通院を継続できることにつながります。
ステップ5:予防習慣を早めに始めて「治療の必要」を減らす
そもそも治療が必要な状況を減らすことが、お子さまの歯科恐怖の根本的な予防になります。日本小児歯科学会は、1歳6か月児歯科健診後のむし歯の治療や「かかりつけ歯科医師」での予防管理が十分でないことを課題として指摘しており、歯科健診後の事後処置により治療が必要な歯科疾患は早期に治療を実施することが必要だとしています[3]。
厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査でも、5歳から11歳ではう歯(むし歯)を持つ者の割合が15〜35%程度であった[4]ことが示されており、予防管理の早期開始が非常に重要です。
当院では、フッ素塗布・歯磨き指導・生活習慣の確認など、お子さまの年齢・発達に合わせた予防メニューを提供しています。土曜・日曜の午前も診療しておりますので、平日にお仕事がある親御さんでも通院しやすい体制を整えています。
小児歯科に通い始めるタイミングと、当院への連れてきかた
「いつから連れていけばいいのか」というご質問も、親御さんからよくいただきます。
乳幼児健診のあとがひとつの目安
乳幼児歯科健康診査は、1歳6か月・3歳の乳幼児に対して、歯及び口腔の疾病及び異常の有無等を内容として、母子保健法に基づき市町村が実施主体となり義務づけられており、歯科疾患の早期発見や発症予防としての保健指導等を目的としています[5]。
この健診後に「かかりつけ歯科医院」を見つけておくことが、その後の歯の健康管理を支えます。健診で異常がなかった場合でも、早いうちから歯科医院に慣れる機会を持っておくことが、将来の歯科恐怖を和らげるうえでも有益です。
「様子を見てほしいだけ」でも大歓迎
当院では、治療が必要かどうかわからない段階でも、「ちょっと見てもらいたい」というご相談を受け付けています。24時間WEB予約が可能ですので、深夜や早朝に思い立ったときでもお申し込みいただけます。
まとめ
- 子どもの歯科恐怖は珍しいことではなく、小児期の感覚的・経験的な刺激が引き金になりやすい。まず「怖さの正体」を知ることが、親御さんにとっての第一歩です。
- 「怖くない歯医者」への5つのステップとして、①まず慣れることを目的にする、②TSD法で知らない怖さをなくす、③できたことを具体的にほめる、④強引に治療しない方針を守る、⑤予防習慣で治療機会を減らす——を実践しています。
- 副院長・早田満里子は二児の母。女性医師として、子育て中の親御さんの気持ちに寄り添った診療を心がけています。
- 東急田園都市線「用賀駅」徒歩1分という立地で、土曜終日・日曜午前も診療。平日が忙しいご家庭でも通いやすい体制です。
- 乳幼児健診の後がかかりつけ医を決める好機。むし歯がなくても、早めにかかりつけ歯科を持っておくことが、お子さまの歯の健康を長く守ります。
「泣いてしまうかも」「嫌がるかも」と心配されていても大丈夫です。まずはお子さまの様子を見せにいらしてください。「今日は歯を見るだけ」という軽いお気持ちで構いません。WEB予約は24時間受け付けています。お電話でのご相談は03-6805-6816まで。〒158-0097 東京都世田谷区用賀4丁目11-4 福島第一ビル1階(東急田園都市線「用賀駅」徒歩1分)。
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 小児歯科学雑誌(J-STAGE)「歯科診療における小児患者の自律神経活動および脳活動の記録解析」jstage.jst.go.jp
[2] 小児歯科学雑誌(J-STAGE)「歯科恐怖に関する研究 第2報 小児期の歯科治療経験との関連」jstage.jst.go.jp
[3] 日本小児歯科学会「これからの小児歯科医療のあり方について」jspd.or.jp
[4] 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」mhlw.go.jp
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯科健診(検診)」kennet.mhlw.go.jp