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小児歯科

2026-08-30

子どものフッ素入り歯磨き粉、年齢ごとの濃度と量はどう選ぶ?

子どものフッ素入り歯磨き粉、年齢ごとの濃度と量はどう選ぶ?|用賀駅前はやた歯科のブログ記事アイキャッチ

用賀小学校区のお子さまを持つ親御さんから「歯磨き粉のフッ素って何歳から使っていいの?量はどのくらい?」というご質問をよくいただきます。ドラッグストアに並ぶ商品の多さに迷ってしまうのは、きっとあなただけではありません。パッケージの裏を見ても「1000ppm」「950ppmF」といった数字が並ぶばかりで、何を基準に選べばいいのか判断しにくいですよね。この記事では、日本小児歯科学会をはじめとする4学会の合同提言(2023年1月改訂)をもとに、0歳から12歳の歯の成長ステージごとに、フッ素濃度・使用量・吐き出し指導のタイミングをわかりやすく整理します。

年齢別フッ素歯磨き粉の選び方:4学会の推奨を整理する

そもそもフッ素(フッ化物)はなぜ必要なの?

フッ素(歯科では正確には「フッ化物」と呼びます)は、歯のエナメル質を酸に溶けにくい状態に変え、むし歯への抵抗力を高める成分です。また、初期のむし歯が進行しかけた歯の修復(再石灰化)を助ける作用もあります。

フッ化物配合歯磨剤は幼児から高齢者まで生涯を通じて家庭で利用できる身近なフッ化物応用で、世界で最も利用人口が多い方法です。日本でも、フッ化物配合歯磨剤の市場占有率は2017年時点で91%に達しています[1]。

2023年の改訂で何が変わった?

2023年1月に、日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会の4学会合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が改訂されました。改訂の核心は、「歯が生えてから2歳、および3〜5歳に用いられる歯磨剤の推奨フッ化物濃度が500ppmから1000ppmへ、6歳以上は1500ppmへと変更された」点です。

改訂の根拠は明確です。WHO(世界保健機関)の推奨では、歯磨剤に含めるフッ素濃度は年齢に関係なく「1000〜1500ppm」としており、1000ppm未満のフッ化物配合歯磨剤ではう蝕予防効果が認められていないことも示されています。

推奨値を一覧で確認しよう

下記の表が、改訂後の推奨の概要です(ペースト状を想定)。

年齢 フッ素濃度 使用量の目安 うがいの注意
乳歯萌出〜2歳 1,000ppmF 米粒大(1〜2mm) 吐き出すのみ。うがいは不要
3〜5歳 1,000ppmF グリンピース大(5mm程度) 少量の水で1回のみ
6〜14歳 1,000〜1,500ppmF 1cm程度 少量の水で1〜2回

4学会の提言では「歯磨剤のフッ化物濃度は高いほどう蝕予防効果が高いと考えられるが、飲み込みによるリスクを考え、年齢別の推奨を行っている」と説明されています。歯の形成期である乳幼児・小児に対しては、歯のフッ素症のリスクとう蝕予防のメリットのバランスを考慮する必要があります。

なお、フッ素濃度1,500ppmを超える製品(高濃度品)については、「6歳未満の子供には使用を控える」「6歳未満の子供の手の届かない所に保管する」旨が厚生労働省から通知されています。

当院では、こうした推奨を踏まえ、定期検診の際にお子さまの年齢・うがいの習熟度・むし歯リスクを確認しながら、ご家庭での歯磨き粉の選び方を具体的にご案内しています。

0〜2歳(乳歯萌出期):まず「米粒大」から始める

乳歯が生えたらケアをスタート

一般的に最初の歯(下の前歯)は生後6〜8か月頃に萌出し始め、2歳半頃までに乳歯20本が出そろいます。この時期の口腔ケアの目的は、歯をむし歯菌から守る習慣づくりと同時に、「歯磨きは怖くない」という経験を積み重ねることです。

当院の副院長・早田満里子(日本歯周病学会認定医・二児の母)は、自身の育児経験を踏まえて「最初は嫌がっても焦らず、乳歯が生えたらガーゼや綿棒から始め、慣れてきたら保護者が仕上げ磨きをするタイミングで歯磨き粉をごく少量使い始めるのが無理のない方法です」とお伝えしています。

この時期の推奨:1,000ppmF・米粒大・吐き出しのみ

「歯が生えてから2歳」の推奨は、1,000ppmF(フッ化物イオン濃度)の歯磨剤を米粒程度(1〜2mm程度)使用し、歯磨き後は歯磨剤を軽く吐き出すことです。うがいをする場合は少量の水で1回のみとします。

この時期はまだうがいが上手にできないため、「吐き出せなくても大丈夫か」と心配される保護者の方が多くいます。しかしその点は次のように説明されています。

1歳0か月児(平均体重約9kg)が1,000ppmFの歯磨剤を米粒程度(1〜2mm)使用した場合、含まれるフッ素量は0.05〜0.1mg。これを1日2回使用し仮にすべて飲み込んだとしても、フッ素の耐容摂取量の0.45mgには達しません。

つまり、推奨量を守る限り、乳幼児が飲み込んでしまっても耐容摂取量を超えることはないと4学会は明示しています。むやみに不安になる必要はありませんが、「量を守る」ことが大前提です。

保護者が知っておきたい「仕上げ磨き」の視点

この時期の歯磨きは保護者による「仕上げ磨き」が基本です。子どもが自分で磨いた後に保護者が確認・仕上げを行い、そのタイミングでフッ素入り歯磨き粉を使います。膝の上に寝かせ、歯ブラシに米粒大をつけ、歯の表面をやさしく磨いた後はティッシュや清潔なガーゼで拭き取るだけでも問題ありません。

当院では、小児歯科に力を入れており、怖さを感じにくい配慮と丁寧な説明を実施しています。お子さまが歯科を「怖い場所」と思い込まないよう、最初の来院から接し方に気を配っています。

3〜5歳(乳歯列期):うがいの習熟度で使い方を調整する

乳歯列期はむし歯リスクが高い時期

3〜5歳は乳歯が20本出そろい、食事の幅も広がる時期です。甘いおやつや飲み物を口にする機会も増え、むし歯が発生しやすくなります。

厚生労働省の「フッ化物洗口マニュアル(2022年版)」では、「乳歯のう蝕予防には、フッ化物歯面塗布、フッ化物配合歯磨剤の応用が推奨される」と明記されています。

この年齢は、フッ素入り歯磨き粉の効果を家庭でしっかり発揮させられる時期でもあります。毎日の仕上げ磨きを継続することが、乳歯を守る上で大きな意味を持ちます。

推奨濃度と量:1,000ppmF・グリンピース大

3〜5歳についても、現在の推奨は1,000ppmFです。使用量はグリンピース大(5mm程度)に増やせます。

3歳0か月児(平均体重13〜14kg)が1,000ppmFの歯磨剤をグリンピース程度(5mm)使用した場合に含まれるフッ素量は0.25mgで、1日2回使用すると合計0.5mg。3歳児で歯磨剤を吐き出せずに飲み込んでしまっている割合は平均で34%という国内の研究があり、歯磨剤からのフッ素摂取量を算出すると約0.17mgになります。合計して0.47mgで、フッ素の耐容摂取量0.65〜0.7mgには達しません。

このことは、「1,000ppmFの歯磨き粉をグリンピース大で使用する」という推奨量を守れば、うがいが完全にできない3歳でも安全域内に収まるということを示しています。

うがいができるようになったらどうすれば?

4〜5歳になるとうがいができるお子さんが増えてきます。この時期のポイントは「ゆすぎすぎない」こと。

フッ素の効果は、歯の表面に成分が残留することで高まります。歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出し、うがいをする場合は少量の水で1回のみとすることが推奨されています。

たっぷりの水で何度もうがいをしてしまうと、せっかく塗布したフッ素が洗い流されてしまいます。「ぺっと出して、水で一回チュペッ」程度にとどめるよう、お子さんに声かけするのがコツです。就寝前の歯磨きにフッ素入り歯磨き粉を使うことで、就寝中に口腔内のフッ素濃度を保ちやすくなります。

副院長・早田満里子も自宅で実践していることとして「子どもに好きなジェルタイプの味(いちごやぶどうなど)のフッ素歯磨き粉を選ばせると、歯磨き自体を嫌がらなくなりました。保護者が歯磨き粉の量を測るのが面倒なら、ストローを切ってゲージ代わりにする方法もおすすめです」と話しています。

6〜12歳(混合歯列期〜永久歯列期):1,000〜1,500ppmFへのステップアップ

混合歯列期はむし歯に最も注意が必要な時期

6歳頃から永久歯が生え始め、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に入ります。この時期は、生えたばかりの永久歯のエナメル質がまだ成熟しきっておらず、むし歯になりやすい状態です。また、高濃度のフッ素が効果を最大限発揮しやすい時期でもあります。

厚生労働省の資料では「永久歯のう蝕予防には、フッ化物歯面塗布、フッ化物洗口、フッ化物配合歯磨剤の応用が推奨される。特にフッ化物洗口は永久歯萌出期の4歳頃から第二大臼歯が萌出する12〜14歳頃まで継続実施すると高いう蝕予防効果が得られる」と明記されています。

また、子どものむし歯は近年大幅に減少しています。厚生労働省「歯科疾患実態調査(令和4年)」では12歳児の虫歯経験本数の平均は0.3本まで減少しており[2]、フッ素の普及をはじめとした予防活動の成果が見られます。一方で、この時期に歯科受診を怠ると永久歯のむし歯リスクが上がるため、引き続きの予防が重要です。

推奨濃度と量:1,000〜1,500ppmF・1cm程度

6歳以上は1500ppmのフッ素濃度の歯磨剤の使用が推奨されていますが、小児においては特に容量を守った上で、体格の成長に合わせた使用量の調整が必要です。また、1500ppmの歯磨剤は6歳未満の小児には使用を控えましょう。

6〜12歳の目安は1cm程度(歯ブラシの毛の部分の半分〜3分の2程度)です。

日本小児歯科学会は「フッ素濃度が高い方がむし歯予防効果は高く、指示されている使用量を守れば安全であることが科学的に証明されている」と述べています[5]。

歯科医院でのフッ素塗布と組み合わせることが大切

家庭でのフッ素入り歯磨き粉の使用に加え、歯科医院での専門的なフッ素塗布(フッ化物歯面塗布)を定期的に受けることで、むし歯予防の効果がさらに高まります。

当院では、定期検診のタイミングでフッ素塗布を実施しています。用賀駅から徒歩1分の立地で、土曜は終日・日曜は午前も診療しているため、学校行事や仕事で平日の通院が難しいご家庭でも無理なく定期的に来院いただけます。

「フッ素は体に悪いの?」「飲み込んだら危ない?」よくある疑問に答える

フッ素(フッ化物)は体に有害ではないか?

フッ素に不安を抱く保護者の方は少なくありません。SNSなどで「危険」という情報を目にすることもあるかもしれません。これは、単体のフッ素(元素)と、歯科で使用するフッ化物(化合物)を混同していることが多い原因です。

歯磨き粉や歯科医院でのフッ素塗布に使用されるのは、フッ化ナトリウム(NaF)やモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)などのフッ化物です。これらは自然界にも広く存在し、お茶や海産物にも含まれています。

WHO(世界保健機関)は全ての人々にフッ化物配合歯磨剤の使用を推奨しており、世界中にフッ化物を供給する重要なシステムであると述べています。わが国を含め多くの国で、フッ化物配合歯磨剤のシェアは90%に達しています。

歯のフッ素症(エナメル質の色や形状の変化)が発現するリスクは幼児期(6歳以下)に集中します。特に上顎中切歯の臨界期は1〜3歳の間であり、この時期にフッ化物の摂取が過量にならないよう注意が必要です。しかし、推奨量を守った使用では、この問題が生じることはないと4学会は説明しています。

もし歯磨き粉を飲み込んでしまったら?

日本小児科学会の調査では「フッ素入り子ども用歯磨剤を大量に誤食すると消化器症状を起こし得るが、いずれの歯磨剤も1本誤食したとしても致死量には至らないと推定される」と報告されています。

推奨量を守って使用している場合に、お子さんが歯磨き中に少量飲み込んでしまっても、すぐに問題になることはありません。ただし、大量に誤飲した場合は異なります。歯磨き粉は必ずお子さんの手の届かない場所に保管し、特に就寝前の仕上げ磨きには保護者が量を管理してください。

万が一大量に飲み込んでしまった際は、牛乳を飲ませる(フッ化物とカルシウムが結合して吸収を抑える)ことが有効とされており、状況によっては医療機関への受診が必要です。

「PFAS(有機フッ素化合物)」とは全く別物です

近年、テフロン加工などに使われるPFAS(有機フッ素化合物)の問題が報道されていますが、これと歯科で使うフッ化物は全く異なる物質です。日本小児歯科学会は「むし歯予防のために使用するフッ素は無機フッ素化合物であり、自然界には存在せず人工的に合成された有機フッ素化合物であるPFASとは全く異なる物質」と明確に説明しています。

まとめ

  • 年齢によって推奨濃度・量が変わる:乳歯萌出〜5歳は1,000ppmF(米粒大〜グリンピース大)、6歳以上は1,000〜1,500ppmF(1cm程度)が現在の推奨です。2023年の改訂により、乳幼児期の推奨濃度は500ppmFから1,000ppmFへ引き上げられました[3]。
  • 使用量を守れば飲み込んでも問題ない:4学会の計算によれば、推奨量通りに使用した場合、乳幼児が全量飲み込んだとしても耐容摂取量には達しません。ただし「量を守る」こと、「大量誤飲を防ぐ保管場所の工夫」は必須です[3]。
  • ゆすぎすぎないことが大切:フッ素の効果を残すため、歯磨き後は「ぺっと吐き出し、少量の水で1回だけうがい」を習慣にしましょう。就寝前の使用が特に効果的です。
  • フッ素は公的機関が評価している成分:WHO・厚生労働省・日本小児歯科学会など国内外の公的機関が、適切な使用量を守ることを前提に、むし歯予防への有効性と安全性を評価しています。PFAS(有機フッ素化合物)とは全く異なる物質であり、混同しないことが重要です[1]。
  • 家庭のケアと歯科でのフッ素塗布を組み合わせる:毎日の仕上げ磨き+フッ素入り歯磨き粉の適切な使用に加え、歯科医院での定期的なフッ素塗布と検診が子どもの歯を守る最善の方法です。

用賀・世田谷でお子さまの歯を定期的に守りたいとお考えのご家族へ。用賀駅前はやた歯科では、副院長・早田満里子(二児の母・日本歯周病学会認定医)をはじめ、お子さまの歯の成長段階に合わせたフッ素塗布・定期検診をご案内しています。土曜終日・日曜午前も診療しており、共働きのご家庭でも通いやすい体制です。24時間WEB予約も受け付けていますので、まずはお気軽にご利用ください。電話でのお問い合わせは 03-6805-6816 まで。東急田園都市線「用賀駅」から徒歩1分です。

はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。

用賀駅前はやた歯科に相談する

参考文献

[1] 厚生労働省「フッ化物洗口マニュアル(2022年版)」mhlw.go.jp

[2] 厚生労働省「歯科疾患実態調査」mhlw.go.jp

[3] 日本小児歯科学会「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について(4学会合同提言)」jspd.or.jp

[4] 日本小児歯科学会「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法についての補足版(一般の皆様向け)」jspd.or.jp

[5] 日本小児歯科学会「濃度の高いフッ化物配合薬用歯みがき剤の使用について」jspd.or.jp

[6] 日本歯科医師会「フッ化物配合歯磨剤(テーマパーク8020)」jda.or.jp

[7] 日本小児歯科学会「有害化学物質PFAS(ピーファス)と歯科で使用する無機フッ素化合物について」jspd.or.jp

[8] 厚生労働省「フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について」mhlw.go.jp

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